Phase 1 広大な放牧地、羊の毛を刈って洗うまで 1-4
4. Carding (カーディング 毛を梳かす)
羊毛の房Stapleの向きを大まかに揃えて少量ずつ卓上ドラムカーダー(針山のマット)に流しくるくると手回しします。反対側から梳かされて長くつながった帯状の羊毛が出てきます。帯状の羊毛は状態によりSliver・Wool roving・Topなどと呼ばれます。洗うだけでは取れなかった草や砂ぼこりが落ちて綺麗になります。
工場ではアルプスの少女ハイジのお爺さんみたいな方が巨大なカーディングマシーンを大きな音で稼働させています。様々な色をした毛は環境に配慮して染められていて、複数色ミックスさせながらカーディングすることでオリジナルの毛色を作ることが出来ます。
余談 日本ではカタカナ英語でSliverをスライバーと発音されていますがニュージーランドでそう言ったらギョッ⁈っとされます。「Slaverスライバー?よだれ欲しいのかい?!」って。正しくはスリヴァーですからお気を付けを。今でも言われた相手の驚いた顔を想い出します、、はい。
Phase 2 デザイン、フェルト、型入れまで 5-9
Phase 3 洗い、乾燥、型入れ、仕上げまで 10-14
12. Sho-Aizome(正藍染)
チホレーヌは4本の藍甕を使い分けて染めています。
建てたばかりの染め液は艶のある濃紺色で遥かな空のような青い色に染まります。数年経ったものはベージュ色で薄氷のような膜が張り澄みきった浅葱色に染まります。
自然な醗酵ですので表面に泡立ちは一切ありません。
染め液の匂いはガーデナーでなくても安心感を抱くような温かく優しいものです。アトリエにいらっしゃる方のどなたも屋内に藍甕が置いてあることに気が付きません。数年後、藍分のなくなった染め液を畑に返せば作物を元気にしてくれます。
心地よい帽子に仕上げるためには寸法も大切なので、染め・洗いの作業中もフェルトの縮絨をコントロールします。
14. Decoration(サイズリボン、飾り付け)
最後はリボン作りです。奥が深く、とても面白い作業です。リボン一つ、ノット一つでがらっと印象が変わってしまうので求めるイメージに合った一本を作れるまで何日もかけて作ります。ひと月かかることもあります。幅・長さ・重さを変えいつも試行錯誤しながら、勿論切り口のない一本を完成させます。
ハンドフェルトの帽子にグログランリボンでは温もりが欠けてしまうように思えて、時間も手間もかかりますがこだわって作っています。
内側のスベリ(肌に当たる帯)はイタリア製の凹凸のある柔らかなシルク生地を染めて着けていましたが、脱いだ後の美しさや機能性から現在は日本製の綿100%グログランリボンを数種類から選び、日本製の綿100%手縫い糸で一針一針思いを込めて取り付けています。今後もより適したものが手に入れば検討して行きます。