• Facebook - Grey Circle
  • Instagramの - グレーサークル

Phase 1 ​ 広大な放牧地、羊の毛を刈って洗うまで 1-4

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで牧場.jpg

羊さんたちは家畜として人や犬に守られながら低地や丘陵、山岳の草地に群れを作って暮らしています。数十頭の小さなSheep farmから、数万頭の巨大な放牧場Stationでまで羊農家さんの規模はさまざまです。一日のほとんど下を向いて草を食べたり、腹這いに寝そべったりして過ごしています。春の出産シーズンには母羊からお乳をもらったり、兄弟で飛び跳ねて遊んでいたりする光景があちこちに見られます。
なかには、事情があって母羊と離れて羊農家さんから哺乳瓶でミルクをもらっている子もいます。子羊の毛はもこもこしていて弾力のある上質な絨毯みたいな感触です。

1. Sheep farming羊さんが暮らしている所

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

毛刈りのお部屋に連れて行って伸びた毛を一頭ずつ刈り取ります。良質な毛の羊さんは畜産品評会でチャンピオンメダルを獲得し高く売られます。ニュージーランドでは羊毛を買うためにクラフトショップにやってくるお客さんのほとんどは自分用の紡ぎ車My Wheelを持っている編み物好きのKnitterばかりです。短く雑に刈られた毛は手紡ぎに向きませんので、長い毛足を無駄にすることのないように刈り取られています。短すぎる毛は洗っているうちにフェルト化してしまいやすく、また、張りがなく弱々しい毛は切れやすく、長くて粗い毛もフェルトに不向きです。

2. Shearing & Sorting(毛を刈って選別)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

刈り取られたばかりの原毛にはラノリンが付いてベトベト汚れているので、数回洗い良く精錬し乾燥させます。手作業の場合は、羊毛洗い用の練りモノゲンを溶かしたぬるま湯に浸して洗います。灰色だった羊の毛が真っ白に輝く羊毛に変身して驚きます。振動や水温の急変に気を付けて綺麗になるまで数回繰り返し洗って脱水します。良く晴れた日に太陽と風にあてて乾かします。ドライヤーや電球の熱では芯まで乾かないのです。おひさま有り難や。

3. Washing & Drying(洗って乾燥)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

羊毛の房Stapleの向きを大まかに揃えて少量ずつ卓上ドラムカーダー(針山のマット)に流しくるくると手回しします。反対側から梳かされて長くつながった帯状の羊毛が出てきます。帯状の羊毛は状態によりSliver・Wool roving・Topなどと呼ばれます。洗うだけでは取れなかった草や砂ぼこりが落ちて綺麗になります。

工場ではアルプスの少女ハイジのお爺さんみたいな方が巨大なカーディングマシーンを大きな音で稼働させています。様々な色をした毛は環境に配慮して染められていて、複数色ミックスさせながらカーディングすることでオリジナルの毛色を作ることが出来ます。

余談 日本ではカタカナ英語でSliverをスライバーと発音されていますがニュージーランドでそう言ったらギョッ⁈っとされます。「Slaverスライバー?よだれ欲しいのかい?!」って。正しくはスリヴァーですからお気を付けを。今でも言われた相手の驚いた顔を想い出します、、はい。

4. Carding (カーディング 毛を梳かす)

 

Phase 2 デザイン、フェルト、型入れまで 5-9

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

思い描く帽子のデザイン画を描き、寸法を正確に測って平面の型を起こします。フェルトは縮むことで丈夫な一繋ぎのテキスタイルになるので、求める大きさよりずーっと大きな型を用意します。作りたい帽子のデザインが一つ一つ異なるので、都度型を準備します。

5. Designing(デザイン・製図)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.JPG

色づくりはチホレーヌの要です。独自の色を作るために毛の配分やカード機の回し方に細心の注意を払っています。美しくふわっふわになった羊毛の束は温かい空気を含んでいて顔をうずめたくなります。360度均一で丈夫なフェルトを作るためには正確な計量も大事です。帽子に穴が開いてはいけませんから。帽子のカルテには安心してアフターサービスに出して頂けるように毛のサンプルと併せて0.01g単位で分量や型をすべて記録保管しています。

6. Colour blending(色づくり)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.JPG

デザインをもとに毛の配置・配分・方向を決めて、用意した羊毛の束から手のひらや指先で一つまみずつ引き出し型に並べます。薄く何層にも重ねて行きます。風が吹いたら舞い上がってしまいますから、そっと静かに集中して作業します。野鳥の歌声やサンキャッチャーから照らされた七色の光で心穏やかに過ごせる時間です。

7. Layering(多層に並べる)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

重なり合う毛の混ざり具合で帽子を鮮明にもぼかしたようにもコントロール出来ます。フェルトの面白いところです。伝統的フェルトメイキングは、手の力加減・水分・振動・圧・摩擦・熱で繊維が変化します。基本的にフェルトに向く繊維で作りますが、チホレーヌは数百ある繊維の中から帽子に合わせて様々なものを選びます。初めは優しく、徐々に強く、情熱と根気もフェルト化には大切な要素です。

大きな敷物は羊毛を簾の上に置いてロープで巻き締め、遊牧民のように馬で引く代わりに二人で足で転がしてフェルトにします。これもワイワイと楽しいですよ。

8. Felting(フェルト化)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

フェルトが帽子の形になったら木型に合わせます。求めるデザインになるまでフェルト化しながら微調整をします。丈夫さを追求する中で編み出された様々なテクニックを駆使し正確にフェルトをコントロールしているので、切ったり縫ったりする必要がありません。ブリムのエッジの形状も丹念に指先で作りだします。

チホレーヌが愛用している洗練された帽子木型は、帽子の本場英国で一番の木型職人さんの工房に行きオーダーしたものです。木型職人さんは世界でも少なくなり、チホレーヌのように一人で作っているアトリエで木型を一揃え集めることは大変です。

9. Hat Blocking(木型に被せ調整)

 

Phase 3 洗い、乾燥、型入れ、仕上げまで 10-14

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

良い形になったら水で優しく洗って石鹸分を流します。水の中では模様がくっきりと現れ、絹は眩い輝きを放ち心奪われます。工程の至るところにこうしてキラリと美しい色が見え隠れする瞬間があり、それらは私の歓びになり、そのすべてが使う方のシアワセな時間へ真っすぐ繋がっています。

手洗いの後少量の酢水に浸し、再びきれいな水に浸し、最後に流水を通して軽く脱水します。

10. Washing(洗い)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.JPG

湿っているうちに木型に入れて形を整えます。寸法通りに仕上げたフェルトはスムーズに型に収まり生地に無理をかけることもありません。お日さまと風に当てて乾かしたら帽子のフォルムを確認し、必要があれば修正します。

11. ReBlocking & Drying(再度型入れし天日干し)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

チホレーヌは4本の藍甕を使い分けて染めています。

建てたばかりの染め液は艶のある濃紺色で遥かな空のような青い色に染まります。数年経ったものはベージュ色で薄氷のような膜が張り澄みきった浅葱色に染まります。

自然な醗酵ですので表面に泡立ちは一切ありません。

染め液の匂いはガーデナーでなくても安心感を抱くような温かく優しいものです。アトリエにいらっしゃる方のどなたも屋内に藍甕が置いてあることに気が付きません。数年後、藍分のなくなった染め液を畑に返せば作物を元気にしてくれます。

心地よい帽子に仕上げるためには寸法も大切なので、染め・洗いの作業中もフェルトの縮絨をコントロールします。

12. Sho-Aizome(正藍染)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

糊入れして再度型に入れます。

数日置いて乾かしたら型から抜いてハットストレッチャーに被せ1mm単位の調整をします。そのままさらに数日置き、形状やサイズを安定させます。

一般的な帽体を使えばデザインと型入れを除く1から13の工程をすべて省くことができるのですが、ここまでの工程があるからこそチホレーヌが作りたい帽子を作ることが出来ます。

13. Stiffening & ReBlocking & Drying (糊入れ、再度型入れし乾燥)

シャポーチホレーヌ鎌倉ハンドフェルトの帽子羊から帽子まで.jpg

最後はリボン作りです。奥が深く、とても面白い作業です。リボン一つ、ノット一つでがらっと印象が変わってしまうので求めるイメージに合った一本を作れるまで何日もかけて作ります。ひと月かかることもあります。幅・長さ・重さを変えいつも試行錯誤しながら、勿論切り口のない一本を完成させます。

ハンドフェルトの帽子にグログランリボンでは温もりが欠けてしまうように思えて、時間も手間もかかりますがこだわって作っています。

内側のスベリ(肌に当たる帯)はイタリア製の凹凸のある柔らかなシルク生地を染めて着けていましたが、脱いだ後の美しさや機能性から現在は日本製の綿100%グログランリボンを数種類から選び、日本製の綿100%手縫い糸で一針一針思いを込めて取り付けています。今後もより適したものが手に入れば検討して行きます。

14. Decoration(サイズリボン、飾り付け)

© 2020 by Chiholaine Kamakura | Japan | チホレーヌ鎌倉| 神奈川県鎌倉市由比ガ浜 |